−−−無駄話




「幸せだよ、俺はね」
「へぇ。意外な言葉ですね」
「そーか?」
「今の貴方を見て、そんな心情を読めるヤツなんていないと思いますけど」
「……ま、幸せなんてのは個人的なコトだ。ヒトに理解してもらう必要はない」
「確かに。理解されたところで、だから何ってもんですけどね」
「本人が幸せだと思ってりゃ、それで充分だろ」
「それでも、意外は意外です。何より、貴方に“幸せ”云々を感じる心があることが」
「なるほど。そりゃ確かに意外だな」
「さすがの貴方も、弱気になってるってことですかね?」
「俺が? はっ、笑い話にはなりそうだな」
「周囲に語り継ぐには充分なネタでしょう?」
「本人がいない場所でなら、何を語ろうと関係ないけどな」
「居たって同じことですよ。笑える噂話ってのは、集団でするものですし」
「集団で居りゃ、強気になれる人間心理か。くだらないな」
「でも、真実ですから。一対多数なら、圧倒的に多勢でいる方が強い」
「それは、絶対にそうだとは言い切れんな」
「ええ。でも、数がいるだけで、それを強さと錯覚することは出来ます」
「巷には、そういうアホが多い。事実だが、錯覚は錯覚だ。結果には、結びつかん」
「そうですね……でも、仲間を得た時の強さへの思い込みは、簡単には侮れないのでは?」
「ふ……鼻で笑って済ませられるとは思わんな」
「そんなことしたら、余計な手間が増えるだけでしょう」
「神経逆撫ですりゃ、セオリー通りの反応。確かに……つまらん手間だな」
「それでも、貴方は無駄なケンカを売るわけですか?」
「ああ……自分でも馬鹿らしいとは、思うがな」
「改める気はない、と?」
「退屈すぎる人生の、極少量でもスパイスくらいにはなる、かと……思ってな」
「結果、どーでした?」
「……変わらんな」
「退屈は、結局、それ以外の何物にもならないと」
「人生なんてのは……は、そんなもんさ」
「それで、後悔するんですか?」
「……意味がないな。後悔ってのが……一番つまらん」
「つまらないから、ヒトは後悔しないように考えて生きてるんだと思いますが」
「なるほど……っ、ひとつ勉強になった」
「でも、貴方にとってはもう無意味ですね」
「そうだな。く……そろそろ、かもしれんな。だが」
「だが?」
「……はぁ……勉強に、なったことは役に立……か、しれない、だろ」
「珍しいことを言いますね。この状況でまだ先があると?」
「め、ずらし……か。そうだ、な」
「貴方のしぶとさは知ってましたけどね」
「くくっ……それが、俺の売りだ、か……な」
「でも、いいかげん苦しいでしょう」
「ああ。だ、から、さすがに……く、もう無理……な」
「やはり、今更役には立ちませんね」
「は、立つ、さ。来世って、ヤツがあ……とした、ら」
「…………」
「今度は、マシ、な生き、か……」



「……マシな生き方、か。本当に生まれ変わりなんてコトがあるとしたら……そして、
前世の教訓を生かせるんだとしたら、貴方がこんな死に方をすることはなかったと思い
ますよ。私は、貴方と似たヒトが同じような死に方をしたのを、もうずっと昔に見てま
すから」












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  下の日付がコレを書き終えた日です。たぶん。
 よって、
 今更(現在2003年2月末)書いた当時に何を考えていたかなんて……;
 とりあえず、書き始めたのはもっと前です。
 ラストが思いつかなくて、しばらく放っておいた記憶が(<阿呆)

  02.05.21.


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