−−−−−仲直り




　ケンカした。


　きっかけは、些細なことで。


　些細すぎて、記憶にも残らないようなことで。


　ただ、ケンカして気まずくなった二人の関係だけが残った。


　どこでどう捻ったんだか、拗れるだけ拗れてて。


　気づいたら、俺は一人だった。


　恋人同士には珍しくもない痴話ゲンカ。


　世の中には「ケンカするほど仲がいい」なんて言葉もあるけど。


　俺たちの場合、当てはまらないと思う。


　だって、ケンカしたの初めてだったし。


　今までは、ホントにただ好きで。


　疑う気持ちなんて、欠片もなくて。


　ケンカなんかしなくても、仲が良かった。


　周りに冷やかされっぱなしでも、気にならないほどに。


　なのに。


　ケンカした。


　原因、なんだっけ？


　考えても、浮かぶのはあいつの泣き顔ばっかりで。


　そうか。


　俺が泣かしちゃったんだ。


　改めて気づく。


　好きなのに。


　ケンカをしても、やっぱり好きなのに。


　笑顔が見たいな。


　泣き顔ばかりが浮かぶことにうんざりして、そう思う。


　だって、一番好きなのは笑顔だし。


　このままだと、一生、泣き顔だけしか残らないのかな。


　笑顔が一番、好きなのに？


　それは切実。


　これから先、一生、泣き顔だけしか見られないなんて。


　そんな人生、まっぴら。


　だから。


　すぐにでも会いに行こう。


　そもそも、原因なんて些細なことなんだし。


　拘る理由はどこにもない。


　あいつの笑顔を見るためだし。


　俺の未来のためだし。


　二人の幸せのためだし。


　それ以外のこと、考える必要あるか？










＞＞＞　了


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　　02.1.14